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2022/08/03(水)

【川畑のぶこ】究極の課題は手放すこと

カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ

 

今日は、みなさまからのご相談をお休みし、
川畑のぶこの所感をお伝えします。

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メディテーション=Meditationは瞑想と訳され、
私自身も仕事でクライエントと、また
プライベートで自身の心を落ち着かせるのに
メディテーションを行いますが、瞑想以外に
も反省や黙考という意味があります。

哲学者であり、ローマの五賢帝の一人、
マルクス・アウレリウスは晩年、毎日の
ようにメディテーションを行っていました。

彼は、日々を振り返り、いかに人生を善く
生きるかについて、自分自身へ向けた
メッセージを綴るというかたちで内省を
していたのですが、この記録は誰かに
読ませるために綴られたわけではなく、
あくまでも自分自身のために
綴っていました。

ところが、これが後に多くの人にとって
バイブルのように読まれることになります。

私自身にとっても、アウレリウスの自省録は
バイブルとなっています。

哲学者で賢帝というと、自分とは程遠い人で、
なんだか堅苦しかったり、壮大な理想を掲げ
たりしていて庶民にはついていけないという
イメージがあり、敬遠しそうになりますが、
この自省録は、アウレリウスの苦悩が透けて
見え、彼もまた私たちとおなじ、一人の悩め
る人間に過ぎないのだという親近感を
覚えながら読み進めることができます。

そのテーマには、
怒りをどのようにマネージすればよいか、
仲間や相手とどのように向き合ったらよいか、
死の恐怖をどのように向き合えばよいか、
今抱えている苦しみをどのように乗り越えれ
ばよいか、成功や権力をどのようにつかう
べきか、などといったものが含まれます。

成功や権力に関しては彼の課題と私のそれは
レベルが大きくかけ離れているものの、
悩みの質はほぼ一緒です。

そして究極の課題は手放すこと。

これは、すなわち己の人生や宇宙を
信頼することであり、アウレリウスも
これらに対する信頼感を育もうと努力
していたことが伺えます。

まさに断捨離の境地ですね。

この世や自然界に対して
「あなたの欲するものを与え、
 あなたの欲するものを奪って下さい」
という姿勢を育むこととアウレリウスは
記しています。

彼はそれを強がりで行うのではなく、
自然に対する従順と善意から行うことが
大切だといいます。

これは育むのにかなりハードルが高い姿勢で
あり価値観ではないでしょうか。

このような境地を理解するのに、
いくつか大切なキーワードがあります。

ひとつは、ダイモーンという概念で、
神と人間の中間に位置する存在が教え導く声、
直感的な教えで、人間の心の中にある
神秘的なものを指します。

そして、もうひとつに、
指導理性(ト・ヘーゲモニコン)=叡智で、
宇宙を支配する理性の一部、すなわち
神的なものの分身で、人間の心の中に
座を占めるダイモーンであり、人間の
人間たる所以のものであるとしています。

この指導理性は人間を正しく導くものであり、
人間の自然に備わっているものと
されています。

自然界にも私たちの内にも、優れた指導者が
きちんと宿っていて、何をすればよいか
すべて知っている(ただしそれは必ずしも
私たちのエゴを満たすものとは限らない)
という、これらへの信頼の有無が心の平安や
穏やかな人生に影響を及ぼすということです。

アウレリウスの自省録から、以下指導理性と
ダイモーンに言及する一文を紹介します。

「私を取り上げてどこでも君の好きなところ
 へ投げ給え。私はそこでも私のダイモーン
 を平静に保つであろう。平静とはすなわち、
 自分が自己の構成素質にかなった態度と
 行動を取るならばそれで満足している、
 という意味である。

 このことのために私の魂が苦しみ、
 真の自己よりも卑しくなり、低くなり、
 がつがつし、溺れ、驚愕する━━ 
 いったいこれはそれほど価値の
 あることであろうか。そもそも
 こんなことに値するほどのものを
 君は発見できるだろうか。」

唸るばかり。

しがみついているものを手放す勇気を
与えてくれるのではないでしょうか。

– 川畑のぶこ

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◎編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━

現状がどうであろうと、
「もっと、もっと」という欲は
誰しも持っていますよね。

でも、年齢を重ねるほど、
諦めに変わってきている人
もいるでしょう。

でも、それは“手放した”ということ
とはちょっと違いますよね。

今の自分を満たし、より善く生きるには
どうすれば良いのか。

アウレリウスの『自省録』には
そのヒントがたくさんあるようです。

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この記事の執筆者について

 

川畑 のぶこ

心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー

 

東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。

 

2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。

 

「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。

 

断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等

 

所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等

 

 

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