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2019/12/23(月)

【やましたひでこ】2019断捨離体験談グランプリ発表(2編)

カテゴリー:やましたひでこ, メルマガバックナンバー

 

おはようございます。
断捨離のやましたひでこです。

12月23日、月曜日。
<旧暦霜月27日>

冬至から1日。

「冬至、陽生じて春また来たる」<杜甫>、
そう、今日から新しい年、お正月なのですね。

さあ、気持ちを新たにして、
あなたの新たな断捨離に
取り組んで下さいますように。

◇◇◇
断捨離大賞2019
グランプリ受賞三作品
◇◇◇

今日のメルマガでは、そのうちの二作品、
全文をご紹介させていただきます。

【グランプリ】2編

◆あげちゃんさん
『人生に番狂わせは度々起こる』

そうなんとなくわかっていても、
本当に自分にそれが降りかかるとは
正直、思っていなかった。

いや、考えたくなかったのかもしれない。
どこかで他人事だと。

しかし、番狂わせは起きる。
実際、私にも起きた。

2月の寒い夜、我が家に泥棒が入った。
外出先から帰宅する車中、
助手席でうつらうつらしていた私に長女が、

「お母さん、リビングの電気
つけっぱなしにしてきたの?」

大きな声で目が覚めた。
玄関ドアは開け放たれ、
煌々と電気がついた自宅は、
何者かにめちゃくちゃにされていた。

心臓がドクンドクンと
胸から飛び出しそうに脈を打つ。

信じたくない、認めたくない自分が
そこに居て思わず目を覆った。

違っていて欲しい…
現場検証中の警察官から
「無くなった物を確認して欲しい」と促され、
日常とは全く変わってしまった我が家に入った。

犯行時間を短縮するためだろう、
犯人はリビングと寝室以外は
手をつけていなかった。

寝室に入り、案じていた
クローゼットを見て息が止まった。
これまで断捨離して厳選したバッグが
もぬけの殻になっていた。

何度も繰り返し、お気に入りだけを
店の陳列をイメージして飾っていた。

手に入るまで何年も待って
私の手元にやってきたバッグが忽然と消える。
考えもしなかった現実に涙も出なかった。

リビングからは金目の物と夫の車の鍵、
そして金庫を持ち去って行った。
当然ガレージにあった夫の車も無くなっていた。

玄関の鍵はかけていた。
しかし、プロの手にかかれば
いとも簡単に突破するらしい。
犯人は、手際よく足が付きにくいモノを
選んでさっさと持ち出して行った。

平和ボケしていた自分に腹が立ったが
ここで喚いても仕方がない。

まずは、ショックを受けている娘たちの心のケアと
今夜の寝床の手配を優先させた。

鍵がかからない自宅に残ってくれる夫と別れ、
娘を連れて近くのビジネスホテルにたどり着き、
ベッドに入ったものの、寝られるはずもなく
夢と現実を行き来する不思議な感覚で一晩を過ごした。

幸い、娘たちは、翌朝は比較的落ち着いていて
学校にも出かけて行った。

そこから、荒らされた我が家と
向き合う日々が始まった。

警察、保険会社、セキュリティー会社、大工さん…
沢山の方との打ち合わせをしながら時が過ぎていく。

大変だったのは三階から金庫を運ぶ際、
重くて運び辛かったらしく、
階段上から投げ落とした跡。
階段と床に大きな穴が空いてしまった。

修理も時間がかかり、
玄関周辺も含めて二か月以上を要した。

その間、私は日中外出できず、辛かった。

でもリフォームされた玄関周りをみて、
ここからまた新たにスタートを切ろう!
と心に誓った。 本当に生まれ変わった気持ちだった。

今回の事件を通して気づいた事がある。

ネガティブな事件に対しての捉え方が私自身、
以前と大きく変化していた事。
ショックだったし、悲しかった。

けれど、立ち上がれない様な
ダメージは受けなかったのだ。

何故? 案外飄々としている私を見て、
周りの人は訝しがっていた。

「長年大切にしていたモノを盗られたのに
悲しくないの?もう手に入らないかもしれないよ」

「泥棒が入った家に住むの不安じゃない?」

「これからはひっそり地味に暮らした方がいいよ」

「普段出入りしてる人の中に怪しい人いなかった?」

私を心配しているようで、
実は言っている本人の考え方を
よく表しているな、と思う。

大切なモノがなくなって悲しいよ、
でもこれから手に入らないとは思っていないし、

今まで派手に暮らしていたとは思わないから、
あえて地味にコソコソ生きたいとも思わない。

出入りする人を怪しんで
これから人との交流を躊躇して
生きていくなんてナンセンス!

私はこれからも
どんどん積極的に行動するつもり。

こう言う考え方になれたのは、
断捨離を続けてきたからなのだと思う。

以前の私は未来不安を沢山抱えて
右往左往していた。

断捨離を通して、無くなっても
なんとかなる自信を重ねてきたから。

辛い経験ではあったけれど、
今後は絶対入られないように
セキュリティーを強化する、
意識も更に強くしていく。

不安過ぎて行動を制限するのではなく、
これからどう楽しんで
リカバリーしていくのかが私の課題。

最近観た映画のセリフに
不思議と当てはまる。

「未来は常に過去を変えている」

そう、忌々しい過去の記憶も
これからの生き方次第で
変化していくと思う。

以前と変わった私の思考。

今後は、
未来不安でいっぱいな周りの人にも、
変化する希望を見出してもらえるよう
貢献しよう!

* * *

◆Saiさん
『骨折ですべてのタガがはずれ落ち』

「入院させてください!これ以上無理なんです。」

家の階段から落ちて右腕を骨折してから二週間、
洗濯物の山を前に私は抑えきれない不安と
疲労感に襲われ病院に電話をしました。

すぐに入院許可が下り、ほっとしながらも
「夫に何も言っていないんです。」
と口ごもる私に看護師の一言。

「成年ですから、家族の同意は必要ありません。」
目が覚めました。

私に必要なことを決めるのは私。
タイミングよく帰宅した次女に付き添いを頼み、
スムーズに入院することができました。

夫の反応は「なぜ今さら?」でしたが、
「家にいると右手を使いそうで怖い。」と押し通し、
入院期限を切ることで納得してもらいました。

整形病棟の二階。四人部屋の窓際の一角が、
それから一週間の私の住まいになりました。

入院した病院は、地域の高齢者ケアの中心で
入院患者の9割は、自力で動けない後期高齢者。

主治医が入院を勧めなかった理由がわかりましたが、
通院では把握しきれなかった体の状態や注意点を、
看護師から丁寧に説明してもらえ、
入院したのは正解だったと思いました。

頻繁な検温や血圧測定によって、
家では気づかなかった異常が検出され、
プロの知識と対応の的確さに安心しました。

骨折した時から、これはただの不注意ではない、
私の中の深いところに原因がある、と感じていました。

階段を走り降りる原因となった
過密スケジュールの半分は、
自分軸で選んだことではありません。

骨折後も、家族に家事を任せ切ることができず
「自宅療養は無理」と感じながら、
なかなか医師や夫に訴えることができませんでした。

情けない話ですが、私は夫に
「大変だから入院した方がいいよ。」
と言ってもらって入院したかったのです。

自分で自分を守る気概も覚悟もありませんでした。

私が大切にしなかった体に、病院のスタッフは
キメ細やかなケアを惜しみませんでした。

体の小さな変化も見逃さず対応してくれ、
確実に楽になったので、
私も遠慮なく苦痛を訴えるようになりました。

病室ではすべてのいのちが大切にされていました。
いのちが最優先される場に
余計なものはありませんでした。
そこにいると、感覚が研ぎ澄まされ、
自分のいのちの微かな訴えを
聴き取れるようになりました。

一週間はゆっくりと過ぎ、
私は心身ともに癒されていくのを感じました。
何もないがゆえに、最高にぜいたくな空間と時間。
元サナトリウムだった病棟は緑に囲まれ、
朝は小鳥の声で目が覚めました。

退院して自宅に戻った第一印象は
「ウ・ル・サ・イ」。

五感から入ってくる情報の多さに混乱し、
感情が不安定になるのがわかりました。
骨折前の計画にこだわって、
完治前なのに動いて怖い思いもしました。

優先順位を考え、自分と家族のために
戦略をたてる必要がありました。

まず、学業で忙しい娘二人が
限界に来ているのを感じ、
家事を思い切りシンプルにしました。

一階に住む夫の両親のことも、
何とか自立しているのを幸いに、
非常事態だからと距離をおきました。

問題はおきず、家の中にゆとりが生まれました。
夫には、私ができることと
できないことを細かく説明し、
少しずつ家事に参加してもらいました。

入院前は
「言わなくてもわかってほしい」
「いたわる気持ちがない人だ」と
夫に絶望していましたが、

ちょっとした言い合いの時にそのことをぶつけると
「できないから全部やってと
言えば良かったんじゃない?」
と返されました。

「妻であり、母であり、
嫁である自分が全部やらなくちゃ」
というのは私だけの思い込み。

家族のためと言いながら、結局各人の課題を私が
横取りしていたようです。

有能でない自分を認めることができず、
家族にも認められないと思っていました。

自分が動けない今を良い機会と考え、
家族を信頼して、私は目と耳をふさいで
休ませてもらうことにしました。

骨折してから、自分を縛っていた
たくさんのタガが見つかりました。
それは、いやな思いをするたびに
生まれた大小の不安の塊。

意識した途端、そのタガははずれますが、
消えたわけではなく、
自分に自信がなくなった時に締め上げてきます。
ギプスに似て、自由を奪われても
守られているようで安心なのです。

たびたび襲ってくる
「体が元通りになるのか」という不安。
瞑想したり本を読んだりしてみましたが、
一番力を与えてくれたのは、「感謝」でした。

「今、ここに生きてあることの恵み」
を思うと、静かな喜びと、
いのちを与えてくれた存在への
畏敬と感謝の念が湧き上がります。

今回の気づきを省みると、
すべて断捨離でやました先生に
教えていただいたことばかり。

断捨離に出会って5年。
モノはかなり減りましたが、心の中のガラクタは、
見てしまったらどうなるのかが怖くて無視してきました。

骨折は、逃げ続けたことの代償のように思います。
今、私がすべきことは、勇気を出して現実に向き合い、
不要なモノ・コト・ヒトを捨てていくこと。

骨折で すべてのタガが外れ落ち
断捨離で すべてのタガは消えうせぬ

やました先生と断捨離の仲間たちに、
心からの感謝をこめて

* * *

いかがでしたでしょうか。

あなた自身にも、あなただけの
断捨離ストーリーがあるはず。

断捨離とは、自分自身が人生の主役の座を
取り戻していくプロセス。

そして、ふさわしい居場所を得たあなたが、
もっと輝きを増していくプロセスでもありますね。

有難うございます。

そう、今日のあなたもごきげんさまにて。

やましたひでこ

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◎編集後記
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2019年、あなたの断捨離物語は
どんな結末を迎えそうですか?

12月26日(木)のメルマガでは
グランプリ全3編のうちの
残り1編をご紹介します。

お楽しみに…!

宮永笑子

 

 

 

 

 

この記事の執筆者について

 

やましたひでこ

クラター・コンサルタント
東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒

 

学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。

断捨離は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。

全国展開している「断捨離セミナー」は、年齢、性別、職業を問わず受講者から圧倒的な支持を得ている。

処女作『断捨離』<マガジンハウス>は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』<いずれもマガジンハウス>の断捨離三部作他、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を越えるミリオンセラー。

 

 

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