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【川畑のぶこ】老後が不安で、お金が使えません
2026/08/05(水)
【川畑のぶこ】老後が不安で、お金が使えません
カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ
水曜日はメルマガ読者の方からいただいた、
川畑のぶこへの相談をシェアします。
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【Q】61歳、専業主婦です。
2年前に夫が定年退職し、
現在は再雇用で働いています。
子どもたちは独立し、
住宅ローンも終わりました。
年金や退職金についても
ファイナンシャルプランナーに相談し、
「普通に生活する分には心配ありません」
と言っていただいています。
それなのに、
私はお金を使うことができません。
夫から旅行に誘われても、
「今はやめておこう」と断ってしまいます。
服もリサイクルショップで買うことが多く、
新しいものはもう2〜3年買っていません。
壊れかけた家電も、「まだ使える」と思うと
買い替えることができません。
夫からは、「そんなに我慢して、
何のために貯めているんだ」と言われます。
私自身も、その通りだと思います。
でも、お金が減ることが怖いのです。
若い頃は、教育費や住宅ローンのために
節約するのは当たり前でした。
でも今は、
その頃より生活に余裕があるはずなのに
節約することが当たり前になってしまい、
お金を使うことに
罪悪感のようなものまで感じます。
気づけば、「使わないこと」が
目的になっているような気もします。
毎月家計簿をつけていますが、
うまくやりくりできて貯金に回せた時は
とても大きな喜びと安心感を感じます。
でも、このままでは、
せっかく自由な時間ができても
何も楽しめないまま
年を重ねてしまいそうです。
私は、どうしてこんなにも
お金を使うことが怖いのでしょうか。
これから先、お金とどのように
付き合っていけばよいのでしょうか。
【サッチ・60代・専業主婦】
【A】サッチさん、
ご相談ありがとうございます。
長年にわたり、お子さんの教育費を
工面し、住宅ローンを返済し、
ご家族の生活を支えてこられたとのこと、
まずはご自身に
盛大な拍手をしてあげてください!
今ではお子さんも独立し、
ファイナンシャルプランナーからも
「普通に生活する分には心配ありません」
と言われているにもかかわらず、
お金を使うことが怖くて仕方がない。
サッチさんの不安がよく伝わってきました。
まず、私たちには生存本能から
「溜める」傾向があります。
近年、行動経済学の分野からも
「プロスペクト理論(=損失回避)」
という考え方があり、
人は何かを得る喜びよりも、
失う苦痛をおよそ2倍強く感じる
ということが報告されています。
特に定年後は、
「これから大きく収入を増やすことは
難しい」という意識も重なり、
「資産が減ること」が実際以上に
脅威として感じられやすくなることと
思います。
有史以来、人類は足りなくて困った歴史が
大半を占めているわけですし、
遺伝レベルでも私たちは祖先から、
生きる知恵として「蓄えること」を
学んできています。
モノも溜めますし、脂肪も溜めますね。
サッチさんは、遺伝レベルでも、個人レベル
でも、長年家族の生活や人生のために
貯めることを学んできたわけですし、
しっかりと貯蓄することは、
ご家族への愛情表現であり、
責任を果たす行為でもあったのでしょう。
何十年もその生活を続けていれば、
節約できる私には、「忍耐強い私」
「家族を思う良き妻・母」「慎ましい人間」
という自己像が育っていきますから、
それを簡単に手放すのは、
これまでの自分を否定してしまうような
気になるのではないでしょうか。
このように、サッチさんにとって
節約は単なる行動ではなく、
アイデンティティの一部なのかも
しれませんね。
ですので、今の状態は必ずしも
サッチさんの性格や意志の弱さの問題とは
限らないということも知っておいてください。
私たちにとって、アイデンティティーを
覆すのはこのうえなく恐怖ですから。
ただし、お金をご自身のために使うことは、
過去の価値観やアイデンティティーの否定
ではなく、
ステップアップと考えてみてください。
過去の自分と入れ替えるのではなく、
これまでがあったからこそ、
それを土台に次のステップに移行するのです。
過去の自分をきちんと含みつつ、
称えつつ、それを超えて未来に前進します。
心理学者アブラハム・マズローは、
人間の欲求には段階があると考えました。
ピラミッドの土台は、まずは食べること、
住むこと、安全に暮らすことといった
「生存」の欲求を満たすことで、
その土台が整ってはじめて、
人とのつながりや、人生の充実、
自己実現といった、より高次の
心理社会的欲求の充足へ移行していく
という考え方です。
サッチさんは長年、
ご家族の生活を守るために、まさに
生理的欲求の充足や安全欲求の充足など、
「生存」の段階は
ひとまずクリアできているわけです。
本来であれば、ここからは
人生の次の段階なのですが、
心だけがまだ以前のステージに
留まり続けているのかもしれません。
ですので、ここからはぜひ、
階段を上るイメージをしながら、
私はいま、「どう生き延びるか」から
「どう幸せに生きるか」へシフトする
段階を踏んでいるのだ、
ということを思い出してみてください。
これは、「いつかのため」から、
「今日という人生を豊かに味わう」
ことへのシフトでもあります。
単に節約をやめるということではなく、
人生のステージが変わったことに合わせて、
お金の役割もご自身とともに
成長させていくということなのです。
もちろん、ステージを上がってみて
「ちがうな」と思ったら、ステップダウン
して戻ったって良いわけです。
いちどステップアップしてしまったら
二度と取り返しのつかないことになる
わけではありません。
「使わないことが目的になっている
ような気もします」と
サッチさんご自身もお気づきの様子。
本来、お金は人生を豊かにするための
手段であり、私たちの人生の目的は
幸福を体験することです。
健康も、お金も、長生きも、
それ自体が目的ではありません。
それらは、自分らしく人生を味わう
ための土台です。
人生を支える道具が人生そのものに
なってしまうと、本来味わえるはずの
豊かさを失ってしまいます。
ですから、私は「もっとお金を使い
ましょう」とは言いません。
「私は何のために、このお金を貯めて
いるのだろう」と問い直してみてください。
そして、少しずつでいいので、
ご自身のために「お金を使う練習」を
身につけてみてください。
たとえば、壊れかけた家電を買い替えて
便利さをじっくり味わう。
季節に一着新しい服を買って、
旬を纏い、その感覚をじっくり味わう。
旅行の前に、ご主人と一緒に
「いつか行ってみたかった」レストラン
に行ってみて、
二人の時間にお料理を堪能するなどです。
そして、
そのあとに自分に問いかけてください。
「本当に困ったことは起きただろうか。」
「お金を使うと危険だ」という思い込みが
本当に現実なのかを、
小さな体験を通して反証してみてください。
そして、ステップアップした新しい経験
で上書きしてみてください。
家計簿にも新しい項目として、
人生を楽しむためのお金を
加えてみてください。
あらかじめ予算として確保したなら、
楽しむために使わなければいけないお金
というルールで運用します。
節約の記録を、「使ってよかったこと」
や「得られた幸せ」の記録にしてください。
旅行で見た景色。
ご主人と笑った時間。
お金は減ったのではなく、
人生の質へと姿を変えたのです。
私たちは呼吸をするとき、
吸うことだけはできません。
吐くから、また吸うことができます。
血液も流れているからこそ
生命を支えます。
お金も同じように
循環するエネルギーです。
サッチさんの喜びのエネルギーも
お金とともに循環することを
覚えておいてください。
人生の終わりに残すべきは
通帳の残高ではなく、素敵な思い出であり、
それこそが本当の財産ではないでしょうか。
どうかこれからは、お金に
人生を豊かにするためのパートナー
としても働いてもらってください。
ー川畑のぶこ
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この記事の執筆者について
川畑 のぶこ
心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー
東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。
2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。
「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。
断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等
所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等
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