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2026/03/04(水)

【川畑のぶこ】捨てられない親と、片づけたい私の葛藤。

カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ

 

水曜日はメルマガ読者の方からいただいた、
川畑のぶこへの相談をシェアします。

———————–

【Q】50代の女性です。
両親はともに80代後半。

私は未婚で子どももおらず、
一人っ子なので、将来的には
実家を畳む立場にあります。

実家は古くから続く旧家で、
広い母屋のほかに蔵もいくつかあります。

母はもともと物を捨てられない性格で、
先祖が残したた家財道具も
「もったいない」と
積極的に引き受けてきたため、
ものすごい量の物があります。

中には価値のある骨董品もあり、
これを、両親がいなくなってから
私一人で処分するのかと思うと、
今からその重圧に押しつぶされそうに
なり、気が遠くなります。

折に触れ、「もう使わないかなと思う
ものから少しずつ片づけていこうか。
価値のあるものは、誰か使ってくれる人
にゆずって有効に使ってもらう方法も
あるよ」と切り出してみるものの、

母は「今はまだいいから、私が死んだら
捨てて」と言い、私が片づけを促そうと
すると激しく抵抗します。

父は穏やかな性格で、日頃、家の中の
ことにはあまり口は挟まない人なのですが、
片づけの話になると、「まだ使える」
「母さんがそのままでいいと言ってるん
だからそのままでいい」と言い張ります。

後に両親がいなくなった際、業者に頼めば
物理的にはスムーズに終わるのでしょう。

でも、先祖や両親の人生が詰まった家財を
私一人で「判断」し「処分」することが、
今の私にはイメージできません。イメージ
したくないだけかもしれませんが…。

両親が存命中に、物理的にも心理的にも
少しでも軽くしたい、軽くなりたい、と
願っている私は、親不孝なのでしょうか。

それとも、これは私が背負わなくても
よい重さなのでしょうか。

自分以外の人が残した大量の物と向き合う
ことが、こんなにも苦しく、
親子関係にまで響くものだとは、
若い頃は知りませんでした。

断捨離の視点から、そして心の在り方として
どこからどう進めていけばよいのか、
ご助言をいただければ幸いです。

【すもも・50代・女性】

【A】すももさんの抱えていらっしゃる
問題は、単なる片づけではありません。

家族史、死生観、責任、愛情、
そして、境界線が複雑に絡む、
非常に心理的負荷の高いテーマです。

まずお伝えしたいのは、すももさんは
決して親不孝ではないということです。

親の人生を尊重しながら自分の人生も
守ろうとしている、誠実で現実的で、
愛ある責任感の持ち主です。

本当に重い問題に、立派に向き合って
いらっしゃいます。

いま起きている問題の重さも、
すももさんが全部ひとりで背負おうと
しているがゆえ、

「まだ起きていない未来」を
すでに一人で背負おうとしているから
ではないでしょうか。

旧家や蔵の品々は、
物理的にはモノですが、心理的には
「家の歴史」「親のアイデンティティ」
「生きてきた証」「死への不安の防波堤」
でもあります。

特に、物質的に恵まれていなかった時代
を経験している80代後半の世代にとって、
モノを手放すこと=
自分の価値観や人生を手放すこと、と
無意識に感じやすいはずです。

お母様の「私が死んだら捨てて」という
言葉は、 「生きている間は私の人生を
否定しないで」というメッセージでも
あるかもしれません。

抵抗は意地ではなく、防衛反応です。

とはいえ、一人っ子に責任が集中する
現実は確かに重い。相続や供養、
家を閉じる責任まで想像すれば、
圧迫感が生じるのは当然です。

断捨離の本質は、
モノを減らすことにとどまらず、
心の整理や関係性の整理も含みます。

すももさんにとっての本丸は、
関係性の整理。

すなわち、親の価値観と自分の人生の
境界線を引くことが大きな課題になる
かと思います。

いま必要なのは、
親を説得することではなく、
すももさん自身の不安を軽くする仕組み
をつくることです。

現実的なアプローチのひとつに、
情報を整理するということがあると
思います。

たとえば「可視化」です。
蔵ごとに写真を撮る、価値がありそうな
ものを記録するなど、大まかな把握をする。

これは処分ではなく情報整理ですから、
親の抵抗も生まれにくいでしょう。

次に、「もしもの準備」という枠組みに
移行していきます。

親世代は「片づけ」には抵抗を示すものの
「終活」は受け入れやすい傾向があります。

「片づけよう」ではなく、
「私が一人になったとき困らないように、
何がどこにあるかだけ教えてほしい」
と伝える。

これは相手を責めるのではなく、
安心を求める姿勢になります。

そして何より大切なのは、
「今、全部決めなくていい」という視点です。

未来の作業を、今の心で引き受けようと
するから苦しくなります。
未来の自分には、未来の力があります。

いま最初に手放すべきは、
「未来の重圧の先取り」かもしれません。

「後始末は私のやり方でさせてもらいます」
と心の中で許可を出し、
いまは現状維持を目標にする。

あえて後回しにすることも、
立派な戦略です。

皮肉なことですが、ご両親が存命のうちに
物理的な解決(片づけ)を急ごうとすれば
するほど、ご両親は抵抗し、
すももさんの心の負担は増してしまいます。

タイミングが訪れたところで、
さらにすももさんが恐れているのは、
処分作業そのものよりも、一点一点に対して
「これは価値があるか?」
「捨ててバチが当たらないか?」と
判断を迫られるプロセスかと思います。

もし、捨てる時が来たなら、
プロの力を借りることも賢明です。

断捨離トレーナーや遺品整理の専門業者、
骨董品買い取りのプロに依頼することは、
決して手抜きではありません。

専門家の客観的な目が入ることで、
すももさんの情緒的な葛藤は
劇的に軽減されます。

「判断」の責任をプロと分かち合うと
今から決めておくだけで、
視界が少し明るくなります。
自分一人で背負わないことです。

最後に、ご先祖やご両親は、
すももさんがモノに押しつぶされて
不幸になることを望んでいるでしょうか。

真の継承とは、物量を守ることではなく、
すももさんが身軽に幸せに生きること
ではないでしょうか。

いまは無理に動かそうとせず、
「これ以上増やさない」をゴールにしながら、
ご両親との穏やかな時間を優先する。

それが結果として、後悔の少ない
「見送り」につながるはずです。

そして、どうかご自身のセルフケアを
忘れずに。すももさんが軽やかでいること
こそが、いちばん大切なのです。

ご自身に喜びや安らぎを与えてくれる
ヒト・モノ・コトに囲まれるよう
意識してみてください。

ー川畑のぶこ

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この記事の執筆者について

 

川畑 のぶこ

心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー

 

東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。

 

2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。

 

「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。

 

断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等

 

所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等

 

 

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