ホーム / 【川畑のぶこ】Q.病気の兄が入院して弱っているのに、私ばかり普通に暮らしていて良いのでしょうか…
2025/01/15(水)
【川畑のぶこ】Q.病気の兄が入院して弱っているのに、私ばかり普通に暮らしていて良いのでしょうか…
カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ
水曜日はメルマガ読者の方からいただいた、
川畑のぶこへの相談をシェアします。
————————————
Q.病気の兄が入院して弱っているのに、
私ばかり普通に暮らしていて良いのでしょうか
川畑先生こんにちは。
独身一人暮らしの兄69歳が
先日脳出血で入院しましたが、
元々血液の病気を持っているため
寝たままで日々
弱っていっているように感じます。
13年前に夫を亡くしている私も、
現在一人暮らしで、兄とは
月一回旅行に行ったりランチをしたりして
「食べられるうちに美味しいものを
たくさん食べよう」
と食べることを楽しんでいました。
そんな兄が無言でベッドに
横たわっている姿を見ると
「これはもう兄ではない」
などと思ってしまいます。
そのくせ私はこんな状況なのにお腹が空くし
普通に食事をしているのです。
そして兄の家の冷蔵庫の中身の
心配ばかりしているのです。
兄がこんな状況にいるのに
なんで私はこんな呆れるような
考えや行動をとっているのか
自分のひとでなしさがこわいです。
そして今自分が生きて動いていることが
不思議でなりません。
なんとかまともな感覚を取り戻したいです。
助けてください。
【ヒロ・60代・女性・パート】
―――――――――――――――――
ヒロさんの、
お兄さんに寄り添い互いに支え合う、
思いやりある関係がうかがえるご相談です。
このように、
自分のことで思い悩んでくれる妹が
いること自体、お兄さんは
幸せな人ではないでしょうか。
ヒロさんは、大切な兄が辛い状況なのに、
自分はなんでいつもどおりなのか、
まともではない、人でなしと
ご自身を責めていらっしゃるのですね。
私たちには、大切な人やものを失ったり
失いそうになったりするとき、
否認の心理がはたらくことがあります。
これは、現状を見ないようにすることで、
自分自身を平常に保とうとする
心理的な防衛機構です。
決して、
薄情だから放っておいているのではなく、
つらすぎて現実から目を背け
自分を守ろうとする状態です。
それほどに
お兄さんの存在がヒロさんにとって
大切なものであるのでしょう。
ですので、
どうかご自身を責めるのはやめてください。
人間はみな生まれた以上、
老いたり病んだり死んだりします。
適度な運動をしたり、
高級なサプリを飲んだりしても、
こればかりは誰にも避けられないものです。
そんな無常を受け入れ、
いつかその日が来るまでに、家族や友と
素敵な思い出をつくることができたなら、
それは豊かなことではないでしょうか。
お兄さんの見た目は変わってしまっても、
心の中にはきちんとその豊かな思い出が
保存されている、その見えない部分に
意識を向けてみてはいかがでしょうか。
「これは兄ではない」のではなく、
過去の若くて元気だったときの兄ではない。
それでも兄は変わらず私の兄であり、
過去は決して失われず、
すべて今に穏やかに含まれている
ということを思い出してみてください。
美味しい食べ物を愉しむ段階は卒業して、
これからはお兄さんと
穏やかで和やかな時間を過ごすという、
新しい関わり方でつながるよう
試みてはいかがでしょうか。
相手を思いやるということは、
相手と同じように苦しむということでは
ありません。
和やかで穏やかな関わりをするためにも、
ヒロさんはいつもどおり食べて、寝て、
健康を保つ必要があります。
良いサポーターであるためには、
まずご自身を整えることが重要なタスク
ということも覚えておいてください。
自分がどんな状態であっても
妹が和やかであるということは、
お兄さんに安心感を
もたらしてくれることでしょう。
ー川畑のぶこ
━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━
今あなたが抱えている悩みを
断捨離メルマガ毎週水曜日の執筆者、
心理療法家・川畑のぶこに
相談してみませんか?
誰にも打ち明けられない悩みを
打ち明けることで、心が
ラクになることもあります。
お寄せいただいた
相談の中から一つ取り上げ、
川畑のぶこがお答えします。
この記事の執筆者について
川畑 のぶこ
心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー
東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。
2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。
「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。
断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等
所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等
執筆者一覧
最近の投稿