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2023/11/08(水)
【川畑のぶこ】Q.児童とどう接したらいいのでしょうか
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水曜日はメルマガ読者の方からいただいた、
川畑のぶこへの相談をシェアします。
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Q.児童とどう接したらいいのでしょうか
都内の公立小学校教員です。
児童の悩みです。
基本的に、児童は教員を好き嫌いで判断し、
それが授業態度にも出ています。
また、嫌いであっても怖いと感じる教員には
卑屈なほど表面上は従順です。
教員を好き嫌いで差別し、
態度を豹変させます。
好き嫌いの基準も幼く、
先生が嫌いだから言うこと聞かない等
平気で言いますし、
何でも人のせいにします。
(自己肯定感も低いように感じます)
都内の様々な地区に勤務しましたが、
こうした子ども達のタイプは初めてで、
疲れ、どう捉え、接したらよいか悩みます。
ちなみに、中学受験は多いです。
【imanori・50代・教員・女性】
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これまで勤務してきた学校とは異なり、
稚拙で好き嫌いの基準で教師を判断し、
不真面目な生徒が多い学校に
imanoriさんは今現在勤務しており、
苦労されているのですね。
おそらくimanoriさんは優しく真面目で、
生徒たちの好き勝手を制圧する
懲罰的な態度の教師には
なりきれないのだと思います。
もちろん、生徒の全員が
そのような姿勢ではないと思いますが、
想像するに、一部のそして強力な
影響力をもつ感情任せな子たちに
クラスが牽引されている
状態ではないでしょうか。
そしてその子たちは面白くて
頻繁にクラスを沸かせるのでは
ないでしょうか。
子どもは楽しいことや面白いことには
流されやすいものです。
「子どもらしい」とか
「子どもっぽい」という言葉を
換言してみると、
素直であるとか稚拙であるとか
大人げないとか単純とかいったものに
なるでしょう。
脳科学的にも、
理性を司る前頭葉が発達するのは
10代に入ってからと言われています。
前頭葉が優位になるまでは、
より原始的な情動や感情を司る
脳が仕事をしている状態ですね。
よって、imanoriさんが
向き合っている生徒たちの態度は、
子どもとしてある意味
自然なことといえます。
「差別だから」という説教に
真剣に耳を傾けるなら良いですが、
その子たちからすると
「つまんない」と返されて
終わりということでしょう。
そのような生徒への対応は、
やはり教師側が子どもの特性を把握して、
一歩上手になって
対応していくしかありません。
好き嫌いがはっきりしている
子どもたちに動機づけを与えるには、
「遊び心ある触れ合い」に限ります。
ここに、私が
心理学のトレーニングを受けた
数ある師のひとりである、
アメリカの臨床心理学者で
パーソナリティー研究の第一人者である
ケーラー博士のエピソードを
シェアするのでぜひ参考にしてください。
ケーラーは、
ある州の学校から問題児が多く
学級崩壊がおきているので
なんとかして欲しいという
依頼を受けたのですが、
その学校の教師たちの問題行動への対処は、
「罰を与える」ということでした。
生徒たちの休み時間を取り上げたのです。
ところが、
それでは問題行動がなくならないどころか、
さらに悪化していきました。
この状況を見たケーラーは、
好き嫌いの激しい子どもたちが
問題を起こしているのなら、
休み時間をむしろ多く与え、
遊ぶことを推奨して思いっきり遊ばせること
そして、授業にもゲームなど
遊び心を刺激するものを取り入れることを
提案します。
教師たちはそんなことをすると
子どもたちはさらにつけあがり、
学級崩壊が進むと危惧しました。
それでも万策尽きて
ケーラーを呼んだわけですから、
仕方なくアドバイスに従ってみたところ、
嘘のように子どもたちの
問題行動がなくなっていったのです。
ケーラーの個人的なエピソードとしても
印象深かったものがあります。
彼の末っ子の息子さんが
好き嫌いの激しい子で、小学生のときに
朝グズグズしてなかなか着替えず、
学校に遅刻しそうなときのことです。
ガミガミ言っても聞かないので、
「今からどっちが先に着替えて
シーツのマントを被って(送迎の)車まで
シーツマンになって高速で移動できるか
競争するぞ!よーい、ドン!」
と言うと、息子さんは
目を輝かせて急いで着替えて
シーツを被って車に乗り込んだそうです。
私たちの問題行動は
ニーズが満たされていないことによって
起きています。
そして、ニーズの満たし方は
人それぞれです。
遊ぶ前に課題を
終わらせてしまいたい子もいれば、
遊んでからでないと、あるいは
遊びの要素が課題に含まれていないと、
課題に集中するエネルギーが
充電できない子もいます。
ぜひ好き嫌いの激しい子たちには、
遊び心を大切に接してみてください。
もちろん、
それはimanoriさんにとって
エネルギーを要することかも
しれませんから、
まずは自分自身のエネルギーを
チャージするべく、
ニーズを満たすことを日常的に行い、
セルフケアを大切にしてください。
応援しています!
– 川畑のぶこ
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◎編集後記
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断捨離メルマガ毎週水曜日の執筆者、
心理療法家・川畑のぶこに
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ラクになることもあります。
お寄せいただいた
相談の中から一つ取り上げ、
川畑のぶこがお答えします。
住田莉良
この記事の執筆者について
川畑 のぶこ
心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー
東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。
2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。
「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。
断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等
所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等
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