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2021/03/03(水)

【川畑のぶこ】不器用な親子関係

カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ

 

A:FROM 川畑のぶこ

心理臨床の現場は
さまざまな心理的課題をもった
クライエントが訪れます。

症状はそれぞれに違っていても、
心の深い部分を探っていくと、
多くは人間関係の課題にたどりつきます。

そして、人間関係の中でも
とりわけ重要な人間関係で私たちの人生に
大きく影響を及ぼすのが親子関係です。

私たちは、言語的にも非言語的にも
親から多くのメッセージを受け取っており、
それぞれの状況に照らし合わせながら、
いかに愛を獲得していくか
(あるいは愛を実現するか)
の人生ゲームを始めます。

器用に前進する人もいれば、
不器用に転んでは起きながら
前進する人もいるでしょう。

あるがん患者さんは、当初、
病気に対する不安や恐怖の相談でしたが、
やがて一人娘との親子関係に悩んでいること、
それが人生のいちばんのしこりであり、
命があと僅かであるとすれば、
それが心残りであることを打ち明けられました。

反抗期の娘さんは、最初は頑なに
カウンセリングを拒んでいたものの、
まずは1対1で面談を、そして最終的に
親子カウンセリングを3人で
行うようになりました。

母親から厳しく育てられた彼女は、
名門の女子中・高校を卒業し、
大学に進学しますが、途中から
不登校になります。

心配する母親は、
なんとか復学させたいと娘に対して
頑張って大学へ行くよう伝え続けますが、
そうするほどに娘は貝のように
心を閉ざしてしまいます。

カウンセリング中の娘さんの口からは、
自分を受け入れない母親へ対する恨みが
堰を切ったようにドロドロと溢れ出ました。

三者面談では、娘の訴えを
鬼の形相で見つめる母親の姿があり、
しばらくはそんな緊張感ある
平行線のカウンセリングが続きました。

ただし、娘の恨みは、彼女自身が
自分に完璧を求めるがゆえに、
そしてそれが出来ず、母親の期待に
答えられないがゆえに、自分を認められず、
苦しくて溢れ出ているものだというのが
伝わってきます。

彼女は、本当はお母さんが大好きで、
期待に応え、認められ、愛されたかったのです。

恨みの大きさは愛の大きさの裏返しでした。

母は母で、娘に幸せになってほしいが故に、
良い教育を受けさせ、良い仕事について、
良い結婚をしてほしいと願っていました。

完璧な母になることを
自身に厳しく課していました。

「娘のため」と信じて…

そんな過剰な厳しさもまた愛の裏がえしであり、
それは、娘が望んではいないかたちで
表現されていました。

お互い、素直に愛を表現できれば
楽になれるのですが、
なかなか素直になれません。

それが親子ってものかもしれませんね。

いかにも、わたしたちはいびつで、
不器用で、愛すべき存在です。

月日が経って、母親がいよいよ
余命いくばくもないという宣告を受けます。

命に限りがあることを知ったとき、
母と娘の関係は一気に前進しました。

母は「もう、あなたは何者にもならなくていい。
ただ、あなたがあなたであればいい。
私はそんなあなたが大切で心から愛している。
いままでごめんね。」と。

娘は「お母さん、ごめんなさい。
私もお母さんが大好き。いままでも、
一生懸命育ててくれてありがとう。
死なないで。どうか生きていて。」と。

心の底の言葉を柔和な表情で
交わすようになりました。

二人の関係性は、「私を理解してほしい!」
と自分ばかり向けられていたものから、
真に相手を思いやるものに変化していきました。

やがて、娘は
社会に飛び立つ心の準備ができ、
就職活動をするようになりました。

このように、親子の課題をクリアして、
母親は穏やかに旅立って行きました。

残された娘さんは、
もっと自分が早く変わっていれば
お母さんを幸せにできたのにと
後悔することもありました。

でも、すべては完璧なタイミングで
計らわれています。

母親はそんな娘の思いをきっと、
天から優しい微笑みで
見守っていることでしょう。

私たちは、「明日は今日の続き」と
漫然と生きているので、ときとして
この親子のように病気や死を
意識しなければ、緊急性をもって
必要な変化を起こせないこともあります。

その瞬間、瞬間が、二度と訪れることない
万華鏡のような時間だと知ったなら、
そして、今日この日が
人生の卒業式と知ったなら、
関係性もまた変わってくるのかもしれませんね。

それが病気であれ親子関係であれ、
こんなことが私の身に降りかかるなんて、と、
一寸先は闇だと嘆くこともあるでしょうが、
おなじように、一寸先が光のこともあります。

その光を信じて前進することが
できたのなら、人生は希望に
満ちたものになるのかもしれません。

– 川畑のぶこ

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◎編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━

親子関係は本当に難しいですよね、、

実家で暮らしている頃は
母親とはいつも言い合いばかりで
早く家を出たくて仕方がありませんでした。

そして、一人暮らしをしても
毎日家に着いたら電話をしてと
連絡してくる母にうんざり、、、

どんどん、心の距離が離れていきました…

しばらくたってやっと普通に
会話ができる関係になりましたが、
帰省して数日間一緒にいると、
また昔のように言い合いに、、

なんでいつもこうなるんだろう、
もっとなんで優しくできないんだろうと
いつも後悔しつつ、また繰り返してしまいます。

他人だったらイライラしないことも
家族だからイライラしてしまうことが
多々あるんですよね。。。

もし、あなたもこんな風に、
親や子供との関係にお悩みがあるのなら、
少し時間をとってこちらをご覧ください。

詳しくはこちら

間中亜衣

 

 

 

 

 

この記事の執筆者について

 

川畑 のぶこ

心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー

 

東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。

 

2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。

 

「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。

 

断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等

 

所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等

 

 

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