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2021/11/11(木)

【川畑のぶこ】Q.うつ病の同僚にどう接したら良いか…

カテゴリー:.新着情報, メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ

 

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Q.うつ病の同僚にどう接したら良いか…

こんにちは。
私の会社の同僚が、うつ病と診断され、
しばらくは出勤していましたが、
お医者様からの診断で休業しています。

初めは1ヶ月ということで、
そっとしておいてあげようと思っていましたが、
1ヶ月が過ぎ、上司からは、休業がしばらく
延びそうだという話がありました。

その同僚が出勤していた頃は、体調の悪さ
などを時々打ち明けられたりしていたので、
一度連絡したいと思っているのですが、
うつ病の人にはどんなふうに接したらいいのか
わかりません。

そもそも連絡すべきかどうかも迷っています。

そうしているうちに、
その同僚のことが心配になって、私の方が
不眠になったり何も手につかなくなってきました。

もし何かアドバイスいただければと思います。
よろしくお願いします。

【梨子・20代・女性・会社員】

―――――――――――――――――

A:FROM 川畑のぶこ

梨子さんの同僚を思う優しい気持ちが
伝わってきます。

同僚がうつになったときの接し方に関しては、
その連絡が相手の負担になってはいけない
という配慮から、悩ましいですね。

連絡を取る頻度は、その人との日頃からの
関係性や親密さにもよると思います。

職場のみでのやりとりしかしないような、
ビジネスライクな付き合いの人から
連絡が入れば、プレッシャーや焦りを
感じるかもしれませんが、
プライベートな時間も共有するような
気のおけない同僚であれば、
思いやりを感じられるかもしれません。

出勤していた頃は、体調のことも
梨子さんにお話されていたとのこと。

もし、ご同僚にとって
梨子さんが比較的親密で、
心を打ち明けやすい存在であるなら、
梨子さんからの声掛けは
嬉しいものかもしれません。

ただし、内容によっては、
こちらが良かれと思ってかけた言葉が、
相手にはネガティブに受け止められる
こともあるので配慮が必要です。

たとえば、
「早く元気になってね!」という言葉は、
一見勇気づけのポジティブな言葉に
聞こえますが、元気になりたくても
なれない相手からすると、

「元気になれないから困っているんだよ」

と、周囲の理解を得られず、
溝を深めてしまうことがあります。

うつの患者さんの多くは、
何かをがんばりすぎてしまった結果、
心が折れた状態になり、前に進む
エネルギーを一時的に失っています。

このことから、
「早く元気になって」というのは、
今の休んでいる状態(=元気でない私)
では周囲に受け入れられないので、
期待に答えるべく、目標達成に向けて
頑張らなければいけない、と
プレッシャーや焦りを感じたり、
ときとして絶望を感じたりしてしまいます。

「こんど食事にいかない?」という
お誘いもしかり、仕事への復帰ではなくても、
何かを「する」ことを促すことで、
同じようにプレッシャーを感じる人や

「食事すらYESと言えないだめな私…」

と罪悪感の増長や自信の喪失に
つながってしまうこともあります。

大切なのは、「ゆっくり休んでね」とか
「無理しないで」と、今の「しない」状態を
全面的に肯定し、相手がプレッシャーオフで
楽になれる言葉かけをすることです。

「今はゆっくり休んで」、
「気が向いたらいつでも声かけてね。」、
「私にできることがあったら何でも言ってね。」
など、相手を受け容れ、やさしく寄り添う存在と
感じられる声掛けをしてみてください。

また、梨子さんは
相手のことを思いやるがゆえに、
眠れなくなってしまっているとのこと。

いわゆる、共感疲労が
起きてしまっているのですね。

相手の様子がわからず、
いろいろと思いを巡らせ、
またご自身の非力さを感じて、
疲れてしまっているのだと思います。

共感はありがたいことですが、
そのことでサポーターが消耗してしまっては、
誰のためにもなりません。

そのようなときに、どのような姿勢で
相手と向き合うのがベストなのでしょうか。

私たちは、何かにしがみついて
抵抗しているときに(たとえば相手に
早くよくなってもらいたいという結果への
執着があるときなどに)苦しみが生じます。

執着の解毒剤は信頼感を育むということです。

信頼感を育めると、
状況を受け容れることができ、
相手を思いやり希望を持ちつつも、
結果への執着を手放すことができます。

たとえば、同僚はこの苦難を
徐々に乗り越えることで経験値を重ね、
人生を切り開いていくことができること、
たとえ梨子さんが望むペースやかたちで
前進しなくても、相手なりに大切なプロセス
を経ていることを信頼してみたなら、
共感によるある程度の痛みはあっても、
絶望することはしないでしょう。

相手を、もがきながらも困難を乗り越えよう
としている勇者として受け容れる姿勢です。

そのためにも、今は梨子さんの同僚が、
さまざまな重荷をおろして、
休息を十分にとること、時間をかけること
が効果的であることを理解してください。

1ヶ月休んだのにと思うかもしれませんが、
私が臨床で向き合う患者さんで1ヶ月で
復帰する人はまれです。3ヶ月、6ヶ月、1年、
なかには2年間フルで会社を休んで
復帰した人もいます。

その人なりの時間をしっかりかけて、
回復していく必要があります。

心が折れたときは、
足を骨折した人が、骨が完全につくまえに
歩きだしたり走りだしたりしたならどうか
と考えてみるとよいでしょう。

私たちの人生にはそれぞれに課された
課題があり、必要な時間も異なります。

同僚が自身の人生の課題に向き合い、
必要な時間をかけて前進することを信頼して、
あたたかく見守ってあげてください。

その優しいまなざしと、
やわらかであたたかいエネルギーは
非言語的に伝わることでしょう。

– 川畑のぶこ

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◎編集後記
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この記事の執筆者について

 

川畑 のぶこ

心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー

 

東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。

 

2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。

 

「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。

 

断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等

 

所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等

 

 

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