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2020/01/22(水)
【川畑のぶこ】Q.癌患者への声掛けについて
カテゴリー:メルマガバックナンバー, 川畑のぶこ
水曜日はメルマガ読者の方から
いただいた、川畑のぶこへの相談を
あなたにシェアさせていただきます。
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Q.癌患者への声掛けについて
はじめまして。いつも興味深く拝読しています。
今回ご相談したいのは「癌患者への声掛け」です。
私の周りには何人も癌を患っている方がいます。
私の母も若くに癌で亡くなりました。
私より若い友人も癌で亡くなりました。
今も闘病中の友人、知人が数人おります。
お見舞いにも行きますし、メールなどで
治療の苦しさをお聞きすることもあります。
いつも、なんと声をかけていいものか・・と悩みます。
ただ「そうなんだ」「辛いね」と返答するばかりです。
一緒に落ち込んでもいけないと思い、
なるべく聞き役として静かにと思ってますが
時には一緒に泣いてしまう事もあります。
本当は何か笑えることでも言えたらいいいのか?
気分転換として全然関係ない話題を
明るく話した方が良いのか?
「私、癌になったの」
そう告白された時も、「そうなんだ・・」と
絶句してしまい言葉が出てきません。
その方のショックが私にわかるわけもなく、
共感できるわけもなく・・・
どう受け止めたら、打ち明けてくれた方の心が
少しでも落ち着くのか・・毎回悩みます。
何かアドバイスをいただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
【さくらこ・50代・パート】
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A:FROM 川畑のぶこ
さくらこさんの相手への思いやりが
伝わって来るご相談内容です。
いまの時代、2人に1人が一生に一度は
がんにかかると言われている時代です。
ですので、家族、友人、ご近所、
隣にいる人をみれば、
相手か自分かのどちらかが一度は
がんを経験するという確率ですね。
では、2人に1人が
がんで死ぬのかというと、
そうではありません。
がんの死亡率は約30%で、
がんに罹っても、5人のうち2人は
がんでは亡くなりません。
私たちは、がん=死ととらえがちで、
それ故に惨めな人ととらえがちです。
相手を弱者としてみてしまうと、
どう接していいのか、
とまどいが出てしまうでしょう。
ここで、受け止め方を変えて、
相手を「困難に向き合う勇者」
として受け止めてみてください。
そのことで、相手に対して
リスペクトできるようになるでしょう。
かといって、前向きに励ますことばかりが
相手の癒しのプロセスに必要なこととは限りません。
さくらこさんがされてきているように、
相手に共感し、ときには一緒に涙することだって、
相手の癒しを促進するのです。
一人ではないという感覚はとても大切です。
また、「前向き」とは
ネガティブなことから目を背けることや、
底抜けに明るいことを言うことではありません。
真の前向きとは、痛みや悲しみを受け入れ、
そのような困難の中にも意味を見出し、
学び、成長の機会とする姿勢を育むことでしょう。
そのような意味でも、相手をリスペクトし、
思いやりの眼差しで見守ることも立派なサポートです。
何かを「する」ことが
サポートになることもありますが、
どのように「ある」かも大きなサポートです。
さくらこさんが病気や死に対して
リラックスして向き合うことができていれば、
そのような困難に直面している相手にも
リラックスして接することができることと思います。
そのような意味で、さくらこさんの人生観や
死生観が問われることになるのかもしれません。
死んだら終わりでしょうか?
それともこれまでとは異なるかたちで
存在するのでしょうか。
ぜひこれを機にご自身の死生観を
振り返ったり育んだりしてみてください。
もしさくらこさんが、
より具体的に相手のニーズを明確にして
そのニーズを満たすようなサポートをしたいのなら、
相手に「何かできることはあるか」と
頻繁に尋ねるとよいと思います。
中には「ただこうやって話を聞いてくれるだけで十分」
という人もいることに気づくでしょう。
もちろん、それ以外のことでも、
さくらこさんにできることであれば
力になれば良いですし、できないことは
他の人にパスすれば良いでしょう。
すべてを抱え込む必要はありませんし、
サポートの話は広がれば広がるほど良い
ということも覚えておいてください。
最後に、相手には、
理想通りの人生を送るとは限らないけれども、
都度学びを得ながら、その人の人生を
切り開く力が備わっていることも信頼してみてください。
– 川畑のぶこ
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◎編集後記
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今あなたが抱えている悩みを
断捨離メルマガ毎週水曜日の執筆者、
心理療法家・川畑のぶこに
相談してみませんか?
一人で悩んでいると、
どんどん深みにはまっていきます。
誰にも打ち明けられない悩みを
打ち明けることで、心が
ラクになることもあります。
お寄せいただいた
相談の中から一つ取り上げ、
川畑のぶこがお答えします。
宮永笑子
この記事の執筆者について
川畑 のぶこ
心理療法家 ・ 断捨離アンバサダー
東京都出身。米国マサチューセッツ州エンディコットカレッジ卒(AA)後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、米国にて通訳・コーディネーターとして独立、通訳の仕事を通じて心理療法に出会う。
2002年に日本帰国後、都内を中心とした複数の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心の悩みやストレスを抱える人々に対して日々カウンセリングを行う。そのほか患者会の指導、セラピスト養成研修の指導、医学部での講義、一般市民向けの講演・講義を全国各地にて行う。
「断捨離」を自ら実践し、メンタル面へ及ぼす影響を認識したことから、「断捨離」メソッドの普及にも取り組む。
断捨離関連著書:「断捨離のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離~私らしい生き方のすすめ」(同文舘出版)、「断捨離アンになろう」(ディスカバー21)等
所属学会:日本心身医学会・日本サイコオンコロジー学会・日本予防医学会 等
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