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2013/02/20(水)
【川畑のぶこ】母の収集癖
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やましたひでこ公式メールマガジン「断捨離」
2013・2・20 No.509
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◆今日の断捨離 母の収集癖
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FROM 川畑のぶこ
私の母には収集癖があった。
実家の断捨離の際には、無造作にハンガーにぶら下げられた、
バラエティーに富む子供向けのお菓子のオマケの人形たちやら、
旅行の度に買ってきたキーホルダーやストラップなどが
百個以上は出てきた。
それらのほとんどは、とうの昔に旬が過ぎており、
泣く泣くダンシャられたのだが、
彼女がこれだけは大事なコレクションだと言って譲らない、
大量の亀の彫刻たちはサバイバーとなった。
縁起&愛嬌があるという理由から、行く先々で
亀の彫刻を見つけては入手してきたらしい。
そんな亀たちの中には、白檀でできたものもあれば、
翡翠やらローズクオーツやらラピスラズリやら
中には名も知らぬ、中国の珍種の石などでできたものもある。
なるほど、それなりにお宝っぽいのだ。
ただこの亀たち、大事なコレクションという割には、
きちんと陳列されたり、宝箱に収納されたりしているわけではない。
本棚の引き出しのひとつに、ごっちゃりと…
亀たちが何層にも重なってぎゅうぎゅうに押し込まれていた。
私からすれば、どうみてもガラクタ扱いのモノ。
断捨離後は、収納されていた本棚自体がなくなったため
亀たちは行く場を失い、改めてヨックモックの菓子箱の中に
詰められた。
再びごっちゃりと…
それでも、母は手放さない意思が明確だ。
ならばと、私は母の誕生日に
コレクションテーブルを贈ることにした。
さらには、その中に亀たちを丁寧に陳列して、
母にサプライズをしてみせた。
これには母も満面の笑みだった。
孫たちが「ババの部屋きれい!亀さんたちかわいい!」と、
母の部屋に集まり、それぞれにお気に入りの亀をみつけて
毎日眺めにくるようになった。
こんな日々が半年くらい続いた頃だろうか、
ある日実家に帰り、母の部屋に入ると、いやにスッキリしている。
コレクションテーブルがないのだ。
亀もいない。
母に「亀はどうしたの?」と尋ねると、
「ああ、ぜんぶお友達にあげたのよ♪」
と、つゆほども悪びれる様子なくいってのけた。
はぁ???!
何時間もネット検索して、選りすぐりのコレクションボードを
贈った私の立場は、いったいどうなるんだー!と、
雄叫んでみたくもなったが、すぐにその気持ちは収まった。
母と亀たちとの関係が、
「完了」したことを悟ったからだ。
恐らく母は、大切にしたかったのに、
大切に扱ってこなかった亀たちに
少なからず罪悪感を抱いていたのだろう。
いつか、ちゃんと飾るからね、
そのうち、ぴかぴかに磨くからねと、
重い引き出しを目にするたびに、
繰り返し亀たちに言い訳してきたのだろう。
本当は亀に対する情熱がしぼんできていたのに、
あえて目を背けてきたのは、
彼らとの約束が果たせていなかったからだろう…
断捨離後、亀たちは部屋の中心にある
重厚なコレクションテーブルの中で、
ようやく日の目を見た。
色とりどりに輝く宝物たちは…
母の部屋を訪れる者たち全てから、
愛でられ、賞賛を浴びた。
母のミッションは遂行されたのだ。
ガラクタから素敵な宝物に変身した亀たちだからこそ、
大切な友人たちにも、堂々と贈ることができたのだろう。
「ああ、ぜんぶ友達にあげたのよ♪」
― そのトーンから、亀の贈り物たちが
友人たちからもさぞ喜ばれたであろうことが伝わってきた。
断捨離は代謝…
そして、モノとの関係を、健全に完了する機会。
ところで、コレクションボードはどうなったかって?
さぁ、知りません。
贈ったものはその時点で忘れることにしましたので…
What’s danshari ? Let’s danshari ! Viva danshari ♪
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