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鬼の母は、母性愛の母だった

– えみさん さん

 昨年3月に夢の一戸建てが完成した。
家族三人で幸せに暮らせるはずだった。
少なくとも周囲からは、そう見えたに違いない。

 

ここに至るまでは紆余曲折がある。
今考えると、よく家が建てられたと思う。
というのも、我が夫は金融投資詐欺で
お金を失ったことがあるからだ。
夫の仕事はフリー、私もパートで生活をしていた。
一戸建てなどあり得ないと思った。

 

夫婦の離婚危機かというところで、
夫が突然物を捨て始めた。独身時代の大切な
ギターも手放し生活費として渡してくれた。
私も家をあきらめ集めていた住宅雑誌、本類を全て捨てた。

 

しかし、我が母は諦めていなかったのだ。
実家の土地と資金援助するから家を建てたらいいと
の申し出をしてくれた。
母には、家があればなんとか生きていけるという
信念があった。

 

そうして、お互いの両親の援助とローンで
なんとか家を建てる目途がついた。

 

母の提案で家が建てるのではあるが、口出しは
してほしくないという我儘な私。
先手をうたないといけないと思い、工務店との
話合いは展示場でお願いした。母との接触は
仕事が忙しいという理由で少なくしていた。

 

私が母を遠ざけたことが仇となり、
家ができた時に、母の我慢が限界になった。
「私がお金を出したのに、口出しするなとは何事だ
近くにいるのにそんな仕打ちをするなんてひどい、
ゆるせない。どうしてあんたはそんなに自分勝手なの。
私はそんな子に育てた覚えはない」
など罵倒の数々、これまでの鬱積を全て吐き出した。
私もあまりに悔しくて、電話口で大ゲンカ。
収集のつかないまま、電話を切った。

 

考えてみれば母の怒りはごもっともで全て本当のことだ。
でも何故私は母の言葉にこれほど腹が立つのか、
傷つき怒りが込み上げてくるのか分からなかった。

 

子供の頃から、怒り出すと止まらない母。
感情のままに、言いたいことを全て吐き出す母。
人を罵倒して、反省するまで許さない母。
私は母に愛されている自身がもてないまま
大人になった。

 

母が建てさせてくれた家である。
私の持ち物ではないのかもしれない。
いつか母に追い出されるかもしれないと。

 

新築の家は、建てたものの愛着がわかなかった。
引っ越しても何をどう収納すれがよいのか
全く分からなかった。

 

知人のライフオーガナイザーに頼み整理、収納依頼。
その後、散らからないが、何かしっくりこない
殺風景な部屋。そうして一年がたった。

 

仕事が忙しくて家のことまで手が回らないに
違いない。反抗期の息子もいる。
ならば仕事をやめよう。
そして今年の3月に仕事を辞めた。

 

これで家を片付けられる、庭も作れると思っていた。
しかし、何もできなかった。
仕事も家事も子育てもうまくいかないダメな私。
仕事を辞めて心が軽くなるはずだったのに、
モヤモヤが取れなかった。

 

そんなときに「うち断捨離しました」のテレビ番組を見た。
依頼者さんの混乱がわが心の内と似ていると思った。
気が付くと何度も繰り返し番組を見ていた。
断捨離後の彼女達の表情が明るく輝く姿に衝撃を受けた。
私も笑顔を取り戻したいと心から願った。

 

それからは、やましたひでこさんに会いたい一心で
断捨離講演会に参加、トレーナーさんのランチ会、
セミナーに誘われるまま断捨離を始めた。

 

「親子俯瞰力講座」では母への思いが強くて、
毎回のように泣く私。被害者意識の塊の私を
トレーナーさん、仲間は静かに見守り聞いてくれた。
安心して話せる場があることがとても嬉しくて、
続けて断捨離講座を受講していた。

 

テーブルリセットから始まり、収納棚、クローゼット、
キッチン、本など捨てていた。
要らないものは手放し、私物を一通り終えたら、
人の物が気になり、勝手に捨てて夫と喧嘩になり、
トレーナーさんに指導を受けて反省した。。

 

私物で、捨てにくい物を探していたらついにありました。
母からもらったジューサー。
これは私が母に貸してと言い、返す頃には既に新品が
実家にあり返しそびれたまま我が家の棚の下段に
居座っていた代物。

 

なぜ、捨てられないのだろうかという疑問。
「ジューサー」に思い出があるのか考えた。
自家製ジュースを飲んだのは30年前、
とてもおいしかったことを覚えている。
「100%ジュースなんだから体にいい、
おいしいんだから。買ったら高いのよ」
と言って娘たちに飲ませてくれた。
残りかすは当時飼っていた犬が食べていたので
廃棄なしというすぐれもの。母にとってお得な品物だった。

 

母は農家出身で無農薬は体にいい、野菜を食べれば
病気にはならないという信念をもっていた。
母は、激怒すると手も出す人で子供の頃は
とても怖くて鬼のような人だ。
子供の我儘、失敗を許さない、母は間違えても
子供には謝らない。そんな母が嫌いだった。

 

本当は母が大好きなのに、甘えたかったのに、
いつも怒られることばかりしていた。
ダメな自分を認めてほしかった。

 

母に愛されている自信がなかった私。
このジューサーで母の笑顔を思い出した。
私がおいしそうにジュースを飲むと喜ぶ母。
仕事が忙しい私の体を気遣っていた母。
言葉にはださなかったけれど、心配してくれていた。

 

わかっていなかったのは私の方だった。
不器用で、素直じゃなくて、甘えられない母。
夫は、母と私が似ていると言う。
母が嫌いということは、私が嫌いということなのか
ということに気が付いた。
母を許すということは私を許すこと。

 

そのことが分かってからは、更に物が捨てられるようになった。
そうして、捨てていくうちに不思議なことがおこった。

 

母が父の部屋の物を捨てたり、夫が物を捨てたり、
息子と会話も増え、家族の仲が少しずつ回復。
捨てることで、人間関係がよくなるとは
このことかと実感した。

 

そして仮住まいの我が家が大切な家へと
私の中で変化した。

 

今、母とは介護が必要な父を四姉妹でサポートしていく
仲間だ。鬼の母は母性愛の強い母と変わりました。

 

今、父は脳梗塞で倒れリハビリ中、
夫は仕事を辞め就活中。
順風満帆とはいかないが、何とかなる
断捨離していれば大丈夫。

 

そんな気持ちになれたものトレーナーさん、仲間、
そしてやましたひでこ先生のおかげだと思っています。
本当に感謝です。

 

いずれ実家の断捨離もしたと目論んでおりますが、
それはもう少し先の話ですね。
トレーナーさんこれからもよろしくお願いします。

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