ホーム / 断捨離体験談2024(入選:山崎 奈美さん)
『断捨離で流れ込んできた生かせいのち、かけがえのない時間』
– 山崎 奈美さん
私の今年のテーマは、「断捨離で流れ込んできた生かせいのち、かけがえのない時間。」です。
今から4年前のある日、私はどん底の人生で全く笑えなくなっていました。気になっていた、断捨離。でも、私はそんな夢のような空間とは無縁の人生だと初めから諦めていました。収納に疲れ切り、自分の人生に引け目を感じていた私は迷いながらもあるだけの勇気を出して参加した、檀葉子さんの断捨離講演会。その日から本当に自分でも驚く変化を感じています。捨てて、捨てて諦めずに今日まで来ました。地元の断捨離トレーナーさんの方々、断捨離仲間の方に恵まれて、意識縁の大切さも知りました。
1番の断捨離は、自分の人生に対する観念の入れ替えができたこと。大澤ゆう子トレーナーのお掃除学校に通い、気づかせていただいた夫との関係性。
キッチンとリビングを遮るように設置した据え置き型の食洗機。玄関からリビングに入るとまず目に入る場所、しかもその背面に向かい合い夫がいつも座っていました。コロナ禍になり看護師の仕事が激務化した私が味方がほしくて買ってきた食洗機でした。
大澤トレーナーからのアドバイスで、違和感がありながらも向き合うことを避けていた自分に気づきました。これは、私の相棒!絶対に必要不可欠なもの、と思っていましたから手放すなんて‥と葛藤しました。しかし、一度は素直にやってみる、そう決めたのだからと取り除いてみたら、夫が開口一番、「なんだか恥ずかしいなあ、丸見えになるなあ」と言うものだから驚きました。勝手に高いものを買ってきて、一年で捨てるなんて勿体ないと怒られると思っていましたから。
大澤トレーナーからは、食洗機は、バリケードだったね。とのお言葉。ああ、私は夫をモンスター化してしまっていたのだと気づきました。
ちょうどその頃は、夫の難病が進行し歩けなくなり高悪性度の腫瘍が再発した時期でした。どうして、どうしたらいい、と苦しい毎日。夫も自暴自棄になっていき更に私も四苦八苦し出口のないトンネルの中から光を探しては落胆する日々。そんな中でも、大き過ぎるリビングテーブル、ソファ、本棚、飾り棚などを次々と断捨離してきたら、狭い我が家にも空間が出来てきました。少しずつ気持ちが軽くなってきた自分がいました。
今年、5月に夫は容態が日に日に悪化し緩和ケア病院へ緊急入院。私はまた、自分は看護師なのだから、何とかしたい、でも、もうできることがないという現実に打ちひしがれ、自己嫌悪と自責と不全感に包まれかけましたが、断捨離で学んできた課題の分離と自分軸を持って相手も尊重するよう踏ん張りました。そして、何よりも空間が私をねぎらい優しく包んでくれ、時には背中を押してくれるのを実感できました。
これが、自宅をパワースポット空間にする、ということかもしれないと気づき、断捨離検定2級試験を受けキッチンを呼吸空間に仕上げました。忙しいだとか時間がないとか夫が大変だから、などグルグルと私の意識にあった観念が手放れていく感覚がしています。そして、気持ちが落ち着き感謝の念が自然と湧くようになった頃、夫の緊急手術が決まり、主治医からも命の保証はできないと告げられたハイリスクを乗り越え、リハビリも乗り越え、夫が退院出来ました。諦めと混乱の渦中で葬儀の段取りをしなくては、と思っていたのに、奇跡というのは、本当にあるのですね。
断捨離登山を諦めずにここまで来たら、人生最大の運が流れ込んできました。関係性が悪化していた夫婦仲は、どこ吹く風のように穏やかになり、かけがえのない時間を共に過ごす毎日になりました。人生は変わらなくとも変えていける、そんな自信に満ちた私になれるとは、それもまた奇跡、ミラクルです。悲嘆と自己否定の観念が感謝と喜びに入れ替わり、これからの難題にも向き合い解決していける覚悟ができています。こ
れからも断捨離登山を歩みながら、自分も家族もまわりの人とも笑い合えるかけがえのない命と時間を慈しみながら健やかに明るく生きて行きます。
断捨離に出会えたこと、ご縁に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。これからも、何卒よろしくお願いいたします。