ホーム / 断捨離体験談2021(入選:やよいさん)
「いい夫婦の日」に思う空間の威力
– やよいさん
11月22日は「いい夫婦の日」でした。私たちはリビングで隣り合って座り、夫がまとめた川の生物の報告書の読み合わせをしていました。こんなに穏やかで、しかも二人が共にやりたかった生物の研究の話を、すっきりとしたリビングでできるとは、1年前には全く想像もできませんでした。
私たちは共働きの教員夫婦でした。娘二人の育児を私の母が助けてくれたので、早朝から夜遅くに及ぶ勤務を行うことができました。しかし、持ち帰り仕事と学校での仕事の疲れのため、住まいであるマンションの部屋の片付けは二の次。それが長年積み重なって、全ての部屋が無惨な汚部屋と化してしまいました。
心身ともに厳しい仕事なのに、家に帰ってもその疲れは癒されません。私は夫に小さなことでイライラし、怒りを爆発させることもしばしばありました。そう、私は家ではとても不機嫌でいることが多かったのです。
娘たちが独立し、夫婦二人で暮らしながらの共働きの日々は続きました。喧嘩や揉め事のない日はないくらいで、定年退職したら喧嘩ばかりの毎日になってしまうのかなと悲しくなりましたが、どうすれば状況が良くなるかがわかりませんでした。
そんなある日―昨年秋、長女から連絡がありました。
「母さん、二人目ができた!でも、相談したいことがあるの。一つは、コロナ禍の中、どこで出産すると良いかということ。もう一つは、長男に続いてまた3月生まれなの。父さんと母さん、3月に定年退職なのにごめんね。」と。
一つ目は、出産が早まることもあり得るので、今娘が住んでいるところに近い病院で出産することになりました。娘の夫が夜勤のある仕事のため、夜勤日に備えて予定日3週間目から私が娘の家に行き2歳になる長男の世話をすることになりました。私は当時特殊な分野の仕事を一人で行っていたので、学校長と教育委員会と相談し、仕事を早く閉じる許可を得られました。残っていた年休を使って娘のヘルプに入り、年度末の3月31日の退職扱いにしてもらえました。
さあ、ここからが大変!子どもたちの年度末評価と指導計画への記入などの書類仕事を倍速で終わらせ、提出。その他の学校の仕事も、巻いて巻いて早く終わらせること、使っていた教室と室内の片付け、職員室内の自分の机の中を空にし、書類を取捨選択し重要文書のファイリングと確認、資料などを置けるよう各自に割り当てられていたロッカーの片付け。
家に戻れば、乱雑な汚部屋たち。「ウチ、断捨離しました」に応募しようと何度思ったことか。しかし、出産までに時間がない!
そんな時、見つけたのが、わらやトレーナーの「お年玉福袋企画」でした。家に入ってもらうのは、本当に恥ずかしいけれど、助けを借りないとどこから手をつけていいか、もう分からない!このままでは、退職までに、出産までに家の中を片付けることはできない!切羽詰まっていました。片付くならありがたいと、夫は賛成してくれたので申し込みました。
わらやトレーナーが来てくださり、孫を連れて安心して泊まりに来られる家を目指して、作業が始まりました。リビングの「土砂出し」。出るわ出るわ、取っておいたモノたち。手にとって途方に暮れていると、トレーナーの温かくも厳しい言葉が飛んできます。
「今」使う?「これからの人生に持っていきたい?」「使うのは、自分よ。どう?」
その度に、「これは、もういい。」「これは、使う。」しかし、思い入れがあるモノだと作業の手が止まります。「手放しても、もし必要になったら買えるモノは一旦手放してみます?」と声をかけてもらえて、本当に沢山のモノを出すことができました。
「リビングに、とにかく空間を作りましょう。背の高いものは使いにくいし危ないのよ。」この言葉に、夫が反応。「本棚や使いにくい家具は、全部出したほうが良さそうですね。」市の係の方と連絡を取り、処分の仕方を理解した彼は、処分場まで家具などを何度も運んでくれました。
私は、時間軸は今、重要軸は自分と唱えながら、モノを選別していきました。そして現れたのは、入居した当時の広い壁とルンバが走れる床。婚礼家具2つと箪笥を出したことで広くなった和室。お年玉企画は、もともと3ヶ月だったのですが、出産のヘルプのため3月中旬から4月下旬まで居なくなることを考慮し、1月から2月の1ヶ月間毎週来てくださり、リビングと和室を爽やか空間にすることを助けてくださいました。
無事出産が終わり、1ヶ月の母子健診もクリアしたので私が家に戻ってから、さらに3ヶ月のサポートをお願いしました。キッチンや、寝室のクローゼット、物置き状態だった部屋なども行いました。そして、なんと物置き空間が私のマイルームになりました。マイルームはより心地よくするため、現在も断捨離続行中です。
後日リビングのテーブルセットは、テーブルも椅子も脚が高く圧迫感があるうえ、足が床に付かず座りづらいと言ったら、切る長さを相談し夫が上手に切ってくれました。リビングがより広く感じるようになりました。
そう、断捨離のプロセスは、夫婦が再び仲良く暮らしていくための大切なプロセスとなったのでした。
リビングでは「一つの机に二つの椅子」。この言葉は、私が幼い頃読んで感銘を受けた「キュリー夫人伝」に載っていた夫婦で研究している様子を表現した言葉。憧れたことそのままを今、している私たち。しかも、私はかつてのようにイライラすることはほとんどなく、笑顔で過ごしています。
プリントや書物から顔を上げると、目に入るのは適度な大きさの画面と広い壁面。空間のゆとりです。このゆとりが、今の私たちの円満な穏やかな生活のもとになっていると確信しています。空間万歳!
心地よさのあまり自室のものを持ち込んでしまいがちなので、お互い気をつけて持ち帰る事や掃除などのメンテナンスに気を配れるようにもなってきている私たちです。
そうそう。そもそもの、安心して孫を連れてこられる部屋、泊まれる部屋にするという目標は達成できています。
予定では2022年1月に孫たちを連れて帰省するとのこと。その日が待ち遠しいです。定年後の幸せな暮らしをクリエイトしてくれた断捨離に感謝です!